富士フイルム「写ルンです Black and White」 9 月以降発売、 C-41 対応フィルムを採用
出典: fujifilm.com
富士フイルムが「写ルンです」の発売 40 周年を記念したモデルとして、黒白の「写ルンです Black and White」を 9 月以降に発売します。公式の製品ページでは、搭載フィルムについて「フィルムはカラー現像に対応し、黒白フィルム専用の現像処理が不要」と明記されています。
40 周年モデルとしては、先に水深 10m までの防水に対応した「写ルンです Active」が 8 月 7 日に発売されており、Black and White はその第 2 弾にあたります。
「黒白専用の現像処理が不要」の意味
注目したいのは、現像プロセスの部分です。一般的な黒白フィルムは D-76 などの専用薬品による処理が必要で、カラーネガで一般的に使われる C-41 とは別工程になります。ラボでは黒白の取り扱いが有料オプションだったり、外注で日数がかかったりすることも珍しくありません。
これに対して、C-41 で処理できる黒白フィルム (クロモジェニックタイプ) は以前から存在しており、現在も ILFORD XP2 SUPER などが販売されています。「写ルンです Black and White」も同様に、カラーネガと同じラインに流せるフィルムを採用しているとみられます。
C41 現像できる白黒フィルムとしては ILFORD XP2 などが先行例として存在する 出典: ilfordphoto.com
この選択は、富士フイルムが 2025 年に日本で提供を開始したスマートフォン向けアプリ「写ルンです+」との相性を考えると、より意味がはっきりしてきます。ITmedia の記事 によれば、「写ルンです+」では撮影済みの「写ルンです」をコンビニから発送すると、約 1 週間後に現像済みの画像データを受け取れるサービス。集約処理を前提としたこの仕組みでは、黒白だけ別工程を用意するより、カラーと同じ C-41 ラインで一括して処理できるほうが運用上の負荷は小さいはずです。新モデルのフィルム選定は、商品単体の話ではなく、現像・スキャンサービスまで含めた設計なのかもしれません。
ターゲットは 10 代後半の男性
ITmedia の取材に対し、富士フイルムは Black and White の主なターゲットを「10 代後半の男性層」と回答しています。ユーザー調査で、SNS などに写真をあえて黒白加工して投稿する層がいることが分かったのがきっかけだそうです。「色に左右されない分、被写体や光と影、質感などが際立つ」「特別な撮影技術や複雑な設定がなくても、日常をアーティスティックな作品のように表現できる」と説明しています。
出典: fujifilm.com
一方の防水仕様「Active」は 20 代後半の女性がメインターゲット。水や砂、衝撃を気にしてスマートフォンの使用を控える場面をねらった「防水モデルの価値の再定義」だといいます。
販売実績は前年度比約 1.5 倍
写ルンですの需要は 2015 年頃に下げ止まり、2021 年頃からは拡大傾向。再ブームの理由については、「現像を待つ時間や、粒状感のある画質が新鮮な価値として受け止められている」と述べ、スマートフォンとは役割が異なる製品だと位置づけています。
レンズ付きフィルムというカテゴリの話ではありますが、富士フイルムがアナログ写真の体験価値をここまで積極的に語り、しかも現像を待つ時間そのものを製品の魅力として押し出しているのは、フィルムユーザーとしては歓迎したいところです。写ルンですで撮った 1 本が現像とスキャンの体験につながり、そこから 35mm フィルムやカメラへ関心が向かえば、フィルム写真のエコシステムにとっても非常に良い影響が期待できます。40 周年モデルの動きが、写ルンですの枠を越えてどこまで波及するのかに注目したいところです。



